エアバスと日本電信電話(NTT、9432)、NTTドコモ(9437)、スカパーJSATホールディングス(9412)傘下のスカパーJSATの4社は1月17日、高度約20キロメートルの成層圏を飛行する高高度滞空ソーラー型無人機(HAPS)の早期実用化に向けた覚書を14日に締結したと発表した。衛星とエアバスのHAPS「ゼファー(Zephyr)」を組み合わせ、大規模ネットワーク構想の実現を目指す。
エアバスの高高度滞空ソーラー型無人機「ゼファー」(同社提供)
今回の覚書では、ゼファーと各社の通信ネットワークをつなげることで、HAPSの早期実用化に向けた研究開発を進める。
ゼファーは成層圏を飛行する無人機で、太陽光を利用したソーラー発電で駆動する。天気や既存の航空交通に妨げられることのない高度を飛行できることから、人工衛星と無人機、有人機の能力のギャップを補い、静止衛星と同様のサービスを提供できるという。
4社は、商業化が始まった通信規格「5G」のさらなる高度化や、次世代の「6G」に向けた取り組みとして、空・海などを含む各所に通信網を拡大する「カバレッジ拡張」の検討を進める。HAPSには基地局設備などを搭載し成層圏を飛行することから、静止軌道衛星(Geostationary Orbit Satellite、GEO)と低軌道衛星(Low Earth Orbit Satellite、LEO)を組み合わせた非地上ネットワーク(Non Terrestrial Network、NTN)技術への活用が期待されている。
HAPSによるネットワーク構築は空や海のほか、災害対策やイベント会場など人が密集する場所での通信容量確保や、建設現場での重機の遠隔操作などに有効であると考えられている。4社はNTN技術を活用したアクセスサービスを「宇宙RAN(Radio Access Network)」と称し検討を進めている。宇宙RANにより災害対策やへき地のエリア化のほか、航空機や船舶などの通信環境の改善につながり、利便性の向上も期待できる。
エアバスとNTTドコモは、成層圏に滞空したゼファーから地上の受信アンテナへ電波を送信する実証実験を2021年8月から9月に展開。スマートフォンの通信に使う2GHz帯の周波数を用いて、成層圏と地上間での電波の伝搬特性を測定し、ゼファーは成層圏に18日間滞空した。
関連リンク
Zephyr(Airbus)
日本電信電話
NTTドコモ
スカパーJSAT
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