不可解選考で浮き彫りとなったセンバツの「怪しい舞台裏」(JBpress)

　もともとセンバツで2枠が割り当てられている東海地区では今年の出場校として当初から昨秋東海大会優勝の日大三島と、もう1校は同大会準優勝だった聖隷クリストファー（静岡）の選出が「当確」とみられていた。

　1966年に創設された聖隷クリストファーは静岡・浜松市の中高一貫校として部活動も非常に盛んな学校だ。特にバレー部が全国クラスの強豪として有名で、近年は野球部も着々とレベルアップを遂げている。そういう背景もあって地元の期待は大きく、センバツ出場が決まれば春夏通じて悲願の甲子園初出場を果たすことになり、話題性は抜群だった。

　同校野球部は事前にセンバツ出場を前提として数多くのメディア取材も受けており、後は発表当日の正式決定を待つばかりとなっていた。

　ところがフタを明けてみれば、まさかの落選。聖隷クリストファーは東海地区から選出された2校の補欠校に回ることになった。

■　「個人の力量に勝る」？　

　この日、オンラインで行われた発表会見で東海地区の選考委員は落選した聖隷クリストファーの昨秋東海大会での戦いぶりについて「頭とハートを使う高校生らしい野球で、2回戦、準決勝で9回に見事な逆転劇を見せた。立派な戦いぶりでした」と称えながらも「個人の力量に勝る大垣日大か、粘り強さの聖隷クリストファーかで賛否が分かれましたが、投打に勝る大垣日大を推薦校とします」と激論の末に大垣日大を選出したことを強調していた。

　しかし、こんな説明で納得できるはずがないだろう。発表後、東海地区の鬼嶋一司委員長が選考に疑問を投げかけるメディアに「特に投手力で差があった。春の選抜大会では失点の多いチームは厳しい」と“弁明”する一幕もあったものの昨秋東海大会の戦いぶりを振り返っても、この発言は的を射ていない。

　同大会決勝戦で聖隷クリストファーは日大三島に惜しくも3対6の逆転負け。一方の大垣日大は日大三島に5対10とコールド寸前の大敗で準決勝敗退を喫している。しかも聖隷クリストファーは同大会2回戦において昨年の岐阜大会決勝で大垣日大が完封負けした中京に競り勝っている。